この「われら中途半派」では、もう30年以上も経ったから時効ということで、いろいろと悪さについて書いてきました。これから白状することははっきり言って犯罪です。
でも若気のいたりということで勘弁していただければと思います。
高校生の頃2〜3回万引きをしたことがあります。現場は竪町にあった長崎屋です。Gパンやコートといった衣類を持ち出すのですが、手口はこうです。
Gパンの場合は試着室へ2枚持って入り、試着したような顔をして1枚はズボンの中に隠して持って帰ります。またコートの場合は手に持っていた紙袋に入れてそしらぬ顔で持ち出します。
最近では商品に盗難防止のタグがついていたりで不可能ですが、当時は簡単に持ち出せました。それでも店を出て大通りにたどり着くまでは心臓がパンクしそうなくらいドキドキしていました。
幸か不幸か一度も見つかったことがなく、大事にはなりませんでしたが、今思うとお店にはずいぶんと申し訳ないことをしたものです。ごめんなさい。
さて、「バイクの話」で紹介した、中学校時代に仲の良かったY田君の同級生に、N田君というのがいました。彼は能登の出身で、金沢市内で下宿をしていたと思います。
彼は「万引きのプロ」と呼べるくらいの男でした。衣類からレコード(当時はCDなんてなかったですよね)、その他日用品までかなりいろんなものを黙って持ち帰っていたようです。
ある日N田君の下宿へ遊びに行った時、彼が言いました。
「長崎屋にかっこいいスーツがあったから欲しいと思っとるんやけど・・・。」
1週間くらい経った頃、また彼の下宿へ遊びに行くと、くだんのスーツが壁に掛かっています。
「例のスーツ買うてきたんか?」
「いや、黙ってもろてきた。」
彼の話によると、欲しかったスーツはマネキンに着せてあったので、店員のような顔をしてマネキンから脱がし、紙袋に入れて持ち帰ってきたそうです。それも白昼堂々とです。
何と大胆な!と思うと同時によくやるよとあきれかえってしまいました。
そんなN田君にも失敗はあるようです。
ある日いつものようにコートを持ち帰ろうとしたところ、ついに店員に見つかってしまいました。
「お客様、袋の中の商品はまだ代金がお済みでないようですが・・。」
万事休す!かと思いきや、彼はあわてるでもなく、落ち着き払ってまずティッシュではなをかんでから
「ああ、これ?ちょっと小さいからやっぱり返すわ。」
とコートを店員に渡して悠々と帰ってきたそうです。店員はあっけにとられていたんでしょうね。商品を受け取って何も言えず彼を見送っていたそうです。